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固体分析技術

固体NMRの利点

それがどういうふうに役立つのか?固体NMRの機能ではなく利点を共同研究者と分かち合おう

携帯電話を購入する際、チップの製造やコーディングについて知りたいとは思いませんよね。知りたいのは、その携帯でどんなことができるか、でしょう。ネットサーフィンしながら電話をかけられるか、とか、携帯とラップトップのカレンダーに同じ情報が反映されるか、とか。

固体NMRの専門家ではない科学者も、同じように考えます。固体NMRが、自分たちの研究にどのように役立つのかを知りたいのです。ですが固体NMRの専門家は、その根本の技術やスペクトルを話題にすることが多いものです。

固体NMRの将来を検討する中で、ある研究者が、NMRが発展・前進していく上で重要なことを明らかにしました。重要なこと: 専門外の人たちには、その技術の便利さ、機能ではなく利点を示すこと。『Community based barriers to the wider acceptance of solid-state NMR』(コミュニティにある、固体NMRのより広範な受容に対する障壁)の中で著者Paul Jonsen氏は、より広範な利用を阻む障害について掘り下げています。

その調査の中で、固体NMRの専門家たちは、NMRは多彩な研究領域で有用であり、生物医学への応用によって非常に強力な機会がもたらされると述べています。調査の参加者らは、固体NMRの専門家はしばしば技術の向上に焦点を当てていると考えました。そのために、彼らは時々アプリケーションを採用するものの、その目的が単にNMRの進化を示すだけだったりします。研究分野を拡げるには、研究者が比較的容易に使用できるツールに、専門家がアプリケーションを完全開発する必要がある、と調査の参加者らは提言しています。物理学やスペクトルについて考えることやより高度な方法を模索することが重要でないと言っているのではありません。むしろこれらは科学的な進歩に不可欠です。つまり、そういった努力に加えて、専門家は、固体NMRによる結果が他の科学分野にいかに意義のある違いをもたらすかということを共同研究者に示す必要があるのです。携帯電話のたとえを使えば、より良いチップやコードの研究を続けてその技術をさらに進化させる、ということです。その分野を前進させるためだけにそうするのではありません。利用者に、その進歩が彼らの仕事にどのように役立つのかを示すのです。

固体NMRが幅広く受け入れられるのを妨げている別の理由は、この最新かつ専門的な技術を開発して使うには経費と専門知識が必要なことです。この点で手が届かないラボも多くあります。こういったラボに調査を実施したところ、その一部は、将来、よりユーザーフレンドリーで費用効果の高い用途に特化した装置が研究ラボ内に置かれるだろうと想定していました。最新の専門知識と感度の高い固体NMR装置を要するより突っ込んだ研究が、中核的研究機関(COE)では扱われるようになるでしょう。

他にも、共同研究者が、固体NMRで入手できる種類の情報に馴染みがないことも、用途を広げる上での障害です。専門家は、固体NMRが対象の分析に最も適しているという答えを専門外の人々の教育でもっとうまくやる必要があります。これもまた、専門外の人の中心的な仕事に直接適用できるやり方で、結果を示すことの重要性を強調するものです。スペクトルを示すのではなく、専門外の人に構造のような、もっと意義があり役立つ何かを示すのです。

著者は、この調査が、固体NMRの役割に関する会話が前進するきっかけになると示唆しています。彼は調査の限界を認識しつつも、この調査がNMRで懸念される対象や可能性を示し、さらなる考察や研究を巻き起こすことを期待していると語ります。また将来の調査では、専門外の研究者の立場から、固体NMRの広範な受け入れの制約を探究するだろうと述べました。

詳細情報

Jonsen, P. (2017), Community based barriers to the wider acceptance of Solid State NMR. Solid State Nucl Magn Reson. 2017 Sep; 85-86:19-24. DOI: 10.1016/j.ssnmr.2017.02.001

Ashbrook, S. E., and Sneddon, S. (2014), New Methods and Applications in Solid-State NMR Spectroscopy of Quadrupolar Nuclei. Journal of the American Chemical Society, 136 (44), 15440-15456. DOI: 10.1021/ja504734p

Tishmack, P. A., Bugay, D. E. and Byrn, S. R. (2003), Solid-state nuclear magnetic resonance spectroscopy—pharmaceutical applications. Journal of Pharm. Sci., 92: 441–474. DOI: 10.1002/jps.10307

Brown S.P. (2012), Applications of high-resolution 1H solid-state NMR. Solid State Nuclear Magnetic Resonance, 41, pp. 1-27. DOI: 10.1016/j.ssnmr.2011.11.006

Bauer, M. (Ed.). (1995). Resistance to New Technology: Nuclear Power, Information Technology and Biotechnology. Cambridge: Cambridge University Press. http://eprints.lse.ac.uk/39607/

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