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材料科学における核磁気共鳴(NMR)分光法

新材料の構成要素の理解

ヒト遺伝子の表現やヒッグス粒子の発見など、今世紀既に科学の大進歩がいくつか成し遂げられました。材料科学分野では、「materials by design」として知られるイニシアティブや、原子レベルで分子集合体を制御する能力を介して命令を出す特定の性質を備えた材料を作製する能力の開発が進められています。こうしたことへの期待は高く、人工光合成、室温超電導体、再生可能エネルギーの大規模貯蔵を可能にする電池のすべてが、将来製品化される可能性があります。

「Materials by design」には、決して小さくなることはないように思える大きな障害が一つ存在します。それは、構成要素を理解することなく、どのように材料を設計するのかということです。例えば、高温超電導体は1986年に初めて発見されましたが、科学者らは未だその機構について完全には理解していません。理論的に裏付けされた新種の材料もあります。実際、トポロジカル絶縁体は発見前に予測されていましたが、未だそれらの作製は成功していません。

創発特性の調査

核磁気共鳴(NMR)分光法は、ポリマーから液晶、建築材料まで、様々な種類の材料の構造と分子動力学の研究にすでに使用されています。多核多次元スキャンなどのNMR手法の進歩により、NMR分光法は次世代材料の調査にとって有益な手法であり続けるでしょう。

高温超電導体の1種である銅酸化物の研究にあたり、研究者らはすでに63Cuおよび17O NMR化学シフトデータを調査しています。有機金属複合体の構造と吸着挙動の観測には、多核とマジック角回転を組み合わせたNRM分光法が使用されています。また、深さ分解βNMRと呼ばれる最新のNRM分光法は、遷移金属酸化物薄膜ヘテロ構造の研究に使用されています。

材料科学研究においてNMR分光法が使用されている他の例には以下のものがあります:

電子常磁性共鳴(EPR)分光法は、材料科学研究においても使用されている近似の手法です。例えば、アモルファス(非晶質)シリコン層から作られた太陽電池パネルが、結晶シリコンから作られた太陽電池パネルと比べて、電流効率がより急速に減少するように見える理由を見出そうとしていた研究者らは、EPR分光法を用いることでアモルファスシリコン層の内部構造をより明確に理解できるようになりました。

先端材料のための先端技術

固体法が増え続け、固体材料のスペクトル分解能が継続的に向上する中、NMRは材料科学研究に欠くことのできない手法であり続けるでしょう。スピン偏極から、特定の同位体を有するサンプルのパルス磁場勾配へのタグ付けまで、大型分子と複雑な構造からの情報抽出方法は存在します。

理論的観点では、密度汎関数理論やハートリー・フォック理論などの異なる量子化学の枠組みに基づいたNMRおよびEPRデータのab initio(第一原理)計算 が大きな進歩を遂げています。NMR分光法は、今や完全に材料科学研究に融合しており、今後も私達の物質自体への理解とともに向上し続けるでしょう。