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タンパク質・核酸

マンノースが脂肪の貯蔵を抑え、エネルギー利用効率を改善

「我々の結果は、腸内微生物叢がマンノースの高脂肪食の悪影響に対する抵抗性を誘導することに貢献することを示唆しています」

肥満は糖尿病、心血管疾患、癌など、生命を脅かしかねない多くの慢性疾患の主要な危険因子の1つです。健康への悪影響が知られているにもかかわらず、肥満の人の割合は世界中の多くの国々で増え続けています。

肥満を引き起こす主な要因の1つが食生活にあることは容易に想像できますが、食事の影響が意味するものは、単に摂取カロリー数だけに留まらない広範な要素を含んでいるように思われます。

マウスにおける研究は、食事の質は腸内微生物叢の構成を決定する上でも重要であることを示唆しています。腸内微生物叢の構成は消化管の機能に影響し、ひいては健康全般にも影響します。

腸内微生物叢とは、腸内で成長して必須栄養素やエネルギーを供給し、感染の予防に貢献する100兆もの微生物の総称です。腸に存在する細菌群のバランスが乱れると、消化機能や免疫機能に影響が生じるおそれがあります。事実、腸内微生物の構成が変化すると、宿主のさまざまな経路、例えばエネルギー調節や全身性炎症、腸内分泌シグナル伝達、腸バリア機能などの経路にも変化が起きます。腸内細菌叢の変化はさらに体内での食物の処理のされ方にも影響を及ぼすことがわかっており、肥満のリスクを決定するとも考えられています。

糖であるマンノースは近年、先天性グリコシル化障害(CDG)という希少疾患の治療のために、それを投与された患者で体重増加が認められなかったことから、肥満との関係が注目され、腸内細菌叢への影響の有無にも新たな関心が集まっています。

マウスの食餌誘発性肥満モデルを用いた最近の研究では、マンノースが体重増加と腸内細菌叢に及ぼす効果が検討されました。8週齢までのマウスにマンノース添加/無添加の普通食、あるいはマンノース添加/無添加の高脂肪食を与え、エネルギー消費量と脂肪貯蔵量のモニタリングを行いました。体重を週1回測定し、体脂肪量を2~3週間に1回、BrukerのLF90II TD-NMR分光計により測定したほか、血糖値、肝脂肪含量、健康全般を評価しました。

データからは、マンノースを強化した高脂肪食群のマウスでは過剰な脂肪の蓄積がなかったことが示されました。つまり、マンノースの強化は高脂肪食による肥満の誘発を予防したのです。さらに耐糖能も向上したこと、エネルギーと酸素の利用効率も高まったことを、研究者らは明らかにしました。また、マンノース強化食群のマウスの方が糞便中のエネルギー含量が多いことから、カロリーの吸収量は少ないことが示唆されました。

ただし、より高齢のマウスではマンノースの好ましい効果は認められず、マンノースの保護効果を発揮させるには肥満を発現する前の若年期に与える必要があることがわかりました。餌へのマンノースの添加をやめると、マウスの体重は再び増加し始めました。

マンノースを与えたマウスでは、腸内微生物叢におけるバクテロイデス門とフィルミクテス門の比率が増加しました。この増加はマンノースの体重抑制効果と一致して、最も若いマウスで最も顕著に認められました。体重と同様に、マンノースの強化をやめると細菌の構成が元の比率に戻りました。

このように肥満と腸内微生物叢とは互いに関連していることが、この最新の研究によって確認されました。

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参考文献

Sharma V, et al. Mannose Alters Gut Microbiome, Prevents Diet-Induced Obesity, and Improves Host Metabolism. Cell Reports 2018;24(12):3087-3098. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2211124718313688