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NMR技術情報

超高速マジック角回転法による陽子検出を用いたタンパク質の主鎖および側鎖の構造解析

最近のブルカー・バイオスピン社の製品開発では、ローターの小型化が進められています。現在はそのサイズが0.7mmになったことで、MAS速度が最高111kHzまで使用できるようになり、生体サンプルを1H検出固体NMRで検査することが可能になりました。すでに公表されている実験ノート「超高速マジック角回転法での生体サンプルの陽子検出概論」(こちらからダウンロード)を土台にして、ブルカー・バイオスピン社は、共鳴技術によるタンパク質主鎖とアミノ酸側鎖の効率的な構造解析を実現するために、1H 検出1次元~3次元実験の報告を完全な形で10件提示しています。それらの実験報告では1つのアミノ酸内もしくは連続残基間の相関関係が示されており、残基内および残基間の相関スペクトルを組み合わせて解析をおこなえば、タンパク質のアミノ酸配列とスペクトルが一致するので、配列を「順次たどる」構造解析を高速におこなうことができます。

60~111kHzの超高速マジック角回転(MAS)法では、強力な不要1H双極子カップリングが弱められて、タンパク質サンプルから生じる1H検出信号を分割することができます。MASによって信号が分割される結果、スカラー結合を利用した分極移動の効率が向上します。したがって、ここに提示するすべての関連実験において等核13C-13C-13C分極移動は、溶液NMR分光法でよく知られているスカラーベースINEPTによるスルーボンドを介してもたらされています。Cαスピンによく見られる急速な横緩和およびその他のスピン(Cβなど)にとって望ましくない信号喪失は、同じく溶液NMR分野に由来する出戻り型移動法を使用することで排除されます。

先述の実験ノート同様に、ここに紹介されている手法の詳細や推奨パラメーターの概要が図や表を使って解説されています。加えて、最適化手順が簡潔なので、作業を円滑かつ簡単に進められるようになっています。1次元測定については、ユーザーはフローチャートに従って一つずつ作業していけば、関連するすべてのパラメーターを最適に設定することができます。パラメーター設定は明確に規定されているので、最適化されたパラメーターはどれも、以後の測定の際に容易に流用することができます。

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