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タンパク質・核酸

NMR、MSおよびSPRを利用したタンパク質-リガンド解析

表面プラズモン共鳴(SPR)分析は、医薬品研究開発の主要ターゲットである膜タンパク質へのリガンド結合の相互作用を研究に用いる最適な検出法です。この方法は、生体分子の相互作用の解析におけるアフィニティおよびカイネティクスを測定する際に非常に有用となります。SPRで解析できるのは結合プロセスのみであることから、結合した分子も解析できるようにSPRと質量分析(MS)および核磁気共鳴(NMR)分光法を組み合わせたテクノロジーが開発されました。

埼玉大学(さいたま市桜区)では、物質科学部門のDeepti Diwan氏のチームが核磁気共鳴(NMR)、MSおよびSPRを用いてタンパク質-糖相互作用の特異度に対する多価結合の影響を研究しています。AV400 + Cryo分光計AVANCE 500分光計、Autoflex III分光計など、ブルカー製のいくつかの装置が研究に使用されました。 Autoflex IIIでは、解析対象の生体分子が脆弱で、他のイオン化法によって断片化しやすい場合に用いられる、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量スペクトル(MALDI-TOF-MS)解析が可能です。


MALDI autoflex speed

タンパク質-糖相互作用は、受精、発生、免疫応答などの重要な生理的プロセスに不可欠な細胞内認識現象を可能にします。この種の反応は弱い場合が多いですが、いわゆる「糖鎖クラスター効果」(ポリマー骨格に沿って糖が密に存在することで、クラスター状の糖が示す多価効果)によって増強されます。

多価効果によってタンパク質-糖相互作用のアフィニティの向上とともに凝集などの他の現象も生じます。そのため、著しい多価効果を示す合成糖質ポリマーは、生物医学の用途に利用できるツールとして関心を集めてきています。

Molecules誌で発表されたように、Diwan氏のチームは新しいタイプのグリコシル化モノマーとしてのマンノース配糖体を合成し、ラジカル重合によって、そのポリマーである化合物8aおよび8bを作製しました。重合反応のために、H-NMRスペクトルを利用して、生成物の重合度を推定してコポリマー組成を確認しました。また、合成した糖質モノマーおよび糖質ポリマーの化学構造の決定にも、NMRスペクトル解析を利用しました。


CryoProbeを備えたNMRシステム

SPR検出によりリアルタイム結合プロファイルを得ることによって、研究チームは、合成糖質ポリマーとマンノース/グルコース結合タンパク質コンカナバリンA(Con A)の相互作用を研究しました。Con A-糖質ポリマー相互作用を評価するために、カルボキシメチルデキストラン・コーティング(CM5)センサーチップのセンサー表面にレクチンを固定化し、ポリマー8aおよび8bをアナライトとして用いました。

その結果、糖質ポリマーの濃度の上昇に伴ってCon A隔離が増強されました。合成したポリマーへのカイネティック・アフィニティから、レクチンによる強力かつ特異的な分子認識能力が明らかになりました。

詳細な解析の結果、マンノース残基が、Con Aクラスター形成の結合化学量論、結合速度、強度および安定性に関する様々な相互作用促進の主要な寄与因子であることが示唆されました。

「我々は、この合成骨格が、多価リガンドの構造およびレクチン-グリカン相互作用の特異的機能に関する結合エピトープの密度を解明するための新たな手段となると期待しています」と研究チームは記しています。

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