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食品科学・安全性

NMRで食品の偽装や汚染を発見

ラベルに表示されていない原材料を含む食品、危険な化学物質や細菌に汚染された食品は、食品産業に内在する様々な潜在リスクの一例にすぎません。

食品の安全性を適切に監視するにあたっては、多数のツールや技法を使ってアウトブレイクの発生や不正な食品の流通を抑制する必要があります。核磁気共鳴(NMR)分光計は、これらの目標を達成するための有望なツールの一つです。

NMRによる食品安全性の向上

汚染された食品が消費者に販売された事例の一つが、2008年の中国産ミルク事件です。これは、中国産乳製品のメラミン汚染を安全管理者が見過ごしてしまったことで起こりました。メラミンは窒素が豊富な化合物で、タンパク質の含有量を高めるため希釈した牛乳や粉ミルクに加えられていました。報道によると、このミルクを摂取した乳児は腎臓結石を発症し、6人が死亡、30万人に異常が生じています。

こうした食品スキャンダルは、スクリーニング手順の不備や、既知の汚染物質や比較的知られていない汚染物質のモニタリングに使われる最新の安全手順を守らなかった結果として発生することがよくあります。1

食品偽装に関する問題も頻繁にニュースになっています。例えば、蜂蜜はその産地と原料に関して不正表示が行われやすい製品です。蜂蜜製品の中には、商品ラベルの表示とは異なり、広告どおりの純度ではないものもあります。実際、一部の企業が希釈した蜂蜜にコーンシロップを混ぜ、消費者を騙して多額の利益を上げていた例などがあります。

近年、蜂群が減少している一方で、製品に備わる健康効果に対する消費者の関心の高まりなどから、蜂蜜の需要は急増しています。一部の小規模メーカーは、たとえそれが消費者の健康と自社製品の誠実さを損なうことになっても、コーンシロップを添加して蜂蜜をかさ増しすることでコストを削減しようとしています。NMRは、基準以下の蜂蜜の特定・発見に役立つと考えられます。2

NMRスクリーニング

NMRによるスクリーニングは、ほかのスクリーニング方法に比べ、食品偽装や食品汚染に対して有利だと思われます。ブルカーのフードスクリーナーTM の蜂蜜プロファイリングモジュールは、蜂蜜業界の不正を発見する一助となるほか、糖やアミノ酸など多数のパラメーターの特定と定量化を支援します。

NMRは、有害と考えられる食品汚染や食品偽装を同じスキャンセット内で検出、同定するコスト効果の高いソリューションとなりえます。フードスクリーナーは質の高いNMR技法を利用しており、その食品スクリーニング手法は、各食品サンプルに固有のスペクトルフィンガープリントを取得することを基本とします。検査対象の食品のプロファイルを、真正な食品サンプルの大規模なデータベースと比較し、安全性の問題を最小限に抑えながら確実な品質管理につなげます。

NMRは、食品の真正性を判断する上でも役立ちます。例えば、NMRは、乳製品不使用のミルク代替品にラクトースが含まれていないかの判断に使用することができます。さらに、NMRを用いることで、製品の信頼性を判断するための食品成分に関する量的・質的データを得ることができます。

参考資料:

  1. Anthony D. Maher and Simone J. Rochfort. Applications of NMR in Dairy Research. Metabolites. 2014; 4(1):131–141.
  2. Bertelli D, Lolli M, Papotti G, et al. Detection of honey adulteration by sugar syrups using one-dimensional and two-dimensional high-resolution nuclear magnetic resonance. J Agric Food Chem. 2010;58(15):8495-8501.
  3. Daniel Kortschak, Den Fälschern auf der Spur, Lebensmittel Zeitung, LZ 30 29. Juli 2016