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食品科学・安全性

オリーブオイルの健康効果はどれも同じではない

事業者と消費者に役立つNMRによるポリフェノール測定

オリーブオイルは、心疾患や糖尿病のリスクを軽減したり、抗炎症効果や認知機能の改善効果をもたらすなど、健康効果があることで知られています。しかし、オリーブオイルの種類によって健康効果が大きく異なることはあまり知られていません。そのため、オリーブオイルの健康効果を求める消費者は、店頭で多数の選択肢に直面したときにある指針を参考にするとよいでしょう。

欧州食品安全機関(EFSA)は5年前、科学研究の分析に基づき、「オリーブオイルのポリフェノールを摂取すると、血中脂質を酸化ダメージから守る効果がある」と結論づけました。ポリフェノールの含有量が多いほど健康効果は高くなりますが、ピュア、レギュラー、ライトタイプのオリーブオイルを生産する際の加工処理によって大切なフェノールが破壊されてしまいます。オレアセインやオレオカンタールなどの重要なポリフェノールが残っているのは、本物のエキストラバージンオリーブオイル(EVOO)だけですが、そのEVOOの間でさえ、含有量は大きく異なります。

消費者がより賢くなってきたのにあわせて、オリーブオイルの生産者たちは自分たちのオイルの特徴を宣伝するようになってきています。そうした中、不当表示が行われないようにするため、一部の国では、EVOOを名乗るための基準としてオレオカンタールとオレアセインの最低含有量を定めている国もあります。ポリフェノール含有量が特に多い早摘みEVOOは、産地と気候に基づいて定められた日までにオリーブを収穫するなど、別の基準を満たす必要があります。

最近、ギリシャのハルキディキ地区の事業経営者たちが、アテネ大学生薬天然物化学研究所の専門家に、この地区の現在の早摘みオリーブオイルにおけるポリフェノール含有量の測定を依頼しました。大学は、論文「Direct Measurement of Oleocanthal and Oleacein Levels in Olive Oil by Quantitative H-1 NMR. Establishment of a New Index for the Characterization of Extra Virgin Olive Oils.」(定量的H-1 NMRによるオリーブオイル中のオレオカンタールおよびオレアセイン含有量の直接測定。エキストラバージンオリーブオイルの特性に関する新しい指標の設定)で初めて紹介された方法を用いました。Evangelia Karkoula、Angeliki Skantzari、Eleni Melliou、Prokopios Magiatisによるこの研究は、『Journal of Agricultural and Food Chemistry』の2012年11月2日号で発表されたものです。

研究者たちはまず、オリーブオイルのオレオカンタールとオレアセインの含有量を短時間で正確に測定する方法を開発することから着手しました。これらのポリフェノールは水とメタノールと反応するため、一般に使われるクロマトグラフィー法では問題がありました。研究者は、反応する溶媒を使わずにオリーブオイルからポリフェノールを抽出する新しい方法を考案しました。次に、q1H NMRを使ってオレオカンタールとオレアセインを直接測定し、ブルカーAvance 600を使ってスペクトルを記録しました。

その結果、シーズンの初期に収穫したオリーブから作られたオイルが最もオレオカンタールとオレアセインの含有量が多いことが分かりました。ほとんどのEVOOにはオイルの賞味期限が表示されていますが、オリーブの収穫時期に関する情報が表示されたものはほとんどありません。大まかな目安として、緑がかった色合いでやや苦みがあり、遮光性の容器で販売されているオリーブオイルは、オレオカンタールとオレアセインの含有量が多い可能性が高いといえます。この原則はある程度は役に立つかもしれませんが、ポリフェノール含有量に関する実測データの方が有用であり、その有用な情報こそがハルキディキのオリーブオイル生産者が求めていたものでした。

アテネ大学研究所の科学者たちは、データを収集するため、極めて重要な2012年の論文に示されたq1H NMRによる方法を用いました。ハルキディキ産の早摘みオリーブオイルの平均ポリフェノール含有量は495mg/kgと、国際的な平均値である330mg/kgを大きく上回りました。生産者はこのデータをもとに、ハルキディキの早摘みオリーブオイルは栄養価が高いと消費者に訴えかけました。

健康効果の差や価格と入手しやすさの違いを考えると、様々なオリーブオイルのポリフェノール含有量を知ることは消費者にとってメリットがあります。厳しいラベル表示基準の導入がますます進む中、NMRベースの検査法が、店頭に並ぶ数多くの種類の中からオリーブオイルを選ぶ際の手掛かりを与えてくれるでしょう。

もっと詳しく:

Olive oil as medicine: the effect on blood lipids and lipoproteins Mary Flynn, PhD, RD, LDN and Selina Wang, PhD, March 2015, UC Davis Olive Center at the Robert Mondavi Institute

Baiano A TC, Viggiani I, Nobile MAD. Effects of cultivars and location on quality, phenolic content and antioxidant activity of extra-virgin olive oils. J Am Oil Chem Soc 2013;90:103-111

Hernáez A, Fernández-Castillejo S, Farrás M, et al. Olive oil polyphenols enhance high-density lipoprotein function in humans: a randomized controlled trial. Arterioscler Thromb Vasc Biol 2014;34:2115-9.

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